感
†長く住み慣れた部屋は、 明後日には空き部屋となる。 色々な出來亊のあった部屋。 想い出のたくさんある部屋。 その前の部屋と同じ様に、 大切な場処には変わりはない。 たとえ誰が何と云おうと。 一足早く最後の挨拶をしてきた。 もう同じ部屋に住む亊はな…
†今迄の自分の甘さより、 その惨めさに気づかされた。 引き裂かれる体の痛みが心に悟らせる。 雨で冷たい午前の闇と、 風に揺られる午後の白天。 甘さなどとうに知られている事実。 そのなかで惨めさに気付いた者はいない。 気付いたところで然して関心はな…
†珍しく短時間睡眠でもⅧ時に起床。 晴天の兆しと移りゆく空をみて、 これは絶対に外出しなければ損と思い、 さっさと支度を整えて駅へ向かった。 好い天気なんてものじゃなかった。 凄く好い天気候だ。 空も青蒼としていて美しく、 仰ぎみながら歩いた為に、…
†何故にこんなにも靜かなのでしょう。 どこか不思議な心地良さを感じさせる、 ゆぅくりと穏やかに流れる時間。 原色の家々や空の色彩までも、 輝きは其の儘に柔らかくみえる。 唯一の騒音といったら線路を走行する乗物くらいか。
†懐しい、なんて言えないくらい。 あの日々、 誰も居なくなった家の夜の暗い部屋で、 音量を最大にして独り聴いていた。 私があの頃を思い出す時、 必ずこの曲は傍にいる。MAKE UP SHADOWアーティスト: 井上陽水,佐藤準,カラオケ出版社/メーカー: フォーライ…
†目を閉じていても、 瞼の裏に光を感じた。 幾度かの閃光と微かな音。 どうやらそれは、 夢ではなかったみたい。 今日は適度な風があった。 降りては舞い上がり、通り抜ける。 あの精神状態に好く効いたのかは、 何故だかはっきりとはわからない。 けれど味…
†長い夢の果てに目覚めて、 カーテン越しに外を覗くと雨。 布団から出て一服よりも先に、 窓を開けて薫りを確かめた。 漸く涼しくなって。 今日だけかも知れないけれど、 確実に暑さが弱まってきている。 珈琲豆の匂いを味わうかの如く、 すっとした冷たい癒…
†大体の予想はついていた。 だから然して驚きもしなかった。 ただ半年の時も与えられずに、 強制的にそれは形になる。 事情に因り仕方の無い亊とはいえ、 これで私の帰る場処が減った。 人と離れる亊と同様に、 慣れた処から離れる亊も、 何時か想い出となっ…
†起床から意味も無く不機嫌。 然し何時もの様に悔いは無かった。 危うい爽快感だけが残って。 本当は行きたくなかったけれど、 行って良かったと思えた事が一つ。 夜風の薫りであります。 あの頃。 毎夜の様に二人で一緒に歩いた事を想起させてくれた。 その…
†どうやら昨夜は日付越え前に、 少し横になろうと其の儘眠って了った様だ。 そして、絶望と焦燥と、一つの優しさの夢。 夢で良かったと本気で心から思えた夢。 それから目覚めたのが午前Ⅲ時だった。 起きているには家の人に迷惑を掛ける為、 再度マイスリー…
†ただ他人に甘えているが故に、 然るべき所で療養したいのだろう。 食べたよ・・・食べる事が出来たよ・・・。 未だ油断は出来ない状況だけれど、 やはり食事は大切で・・・贅沢なんて要らない。 Ⅹ酈時、医院へ。 軽い感じで重い事を相談した。 院長も慎重過ぎずに対…
†風に身を任せて揺らぐ鳥。 午後から陽を感じ外に出られる事になり、 久し振りに大きく緩やかな時を味わえた。 此処の所の停滞・抑鬱状態に、 温かい休息を下さった方々へ心より感謝。 誘って戴き、また言葉を交して下さり、 本当に有り難う御座居ました。 …
†回想と未知が、 日毎求め続ける。 朝の東の空を。 夕の西の空を。 橙色の朝焼けと、 金色の夕暮れ。 日々に付き纏う過ごしゆく薫りと、 想い出をくすぐる可憐な花の香。
†真夜中の静けさ薫る一本の道。 嬉しいほどに人の気配がない。 あまりに冷たく心地良かったから、 暫し風を感じながらあの日々を想った。 幾度も想い起こす、風の日々を。
†揺れて居るのは私だけですか。 誰に訊いても揺れは無い様子ですから、 何時もの如く眩暈なのでしょう。 此の所、眩暈の頻度が高いのです。 鈴をみても紐をみても揺れては居ません。 口癖が一つ増えました。 「今、揺れなかった?」 昨日の夕の陽は二つにみ…
†只今、埼玉県にある姉宅へ、 少しの間だけお邪魔している為、 こちらでの散歩が多いです。 やはり新宿区とは違いますね。 本日はのんびりとした晴天、 風も穏やかで緑が薫っていたので、 長い旅でのつらさを暫し忘れて過ごせる様な、 ゆったりとした時が流…
†夜の静けさに硝煙が匂った。 久し振り。あの匂いは好きだった。 右をみても左をみても人影見当たらず。 まるで都だとは思えないほどだった。 今夜はずっとあの駅に居たかった。 回顧ばかりが支配する夜に。
†目覚めると陽は帰り路につこうとしていた。 淡く彩る空の下には緩やかに流れる町並み。 昨夜の眠剤が後を引いているのか軽く頭痛がする。 喉が渇くのに煙草を喫んでしまう。 何だか自分の体温と同じ液体にそっと触れている、 そんな感触であまり現実感を伴…
†帰り道にて。 お月様が綺麗だね、とか言いながら、 重い鞄をぶら下げて歩いていた。 するとずっと前方に白い塊が放置してある。 今宵も裸眼です。よくみえません。 恐怖を感じたがそこを通らないと宅へ着かない。 表向き平然を取り繕って少し警戒しながら歩…
†芯まで冷える懐かしい薫りの中で、 深い紺色の空に白い雲と月が浮かんでいる。 空気をいっぱいに吸い込んで深呼吸をすると、 微かに白い息が月に吸い込まれる様に消えた。 安らぐ場所の一つに空気の澄んだ夜がある。 寒さを安らぎの薫りに変える場所は凄い…
†一日の間に、 一体何度の既感にみまわれたのか。 何気ない事をしようとする時、 それは必ずやってくるのです。 それで思い出そうとして立ち止まる。 すぐにそこまで掴みかけているのに、 触れそうなところで消えて逃して了う。 ほら、まただ。
†白の隙間から僅かな水色が覗いている。 ヴァニラに挟まれたミントのよう。 また逢えたから厭な事も暫し忘れていられる。 覚めて了って風景が現実でも気怠るくない。 想いを継続していられるから、 いつかこちらでも会える気がして。
†今日から新たな月となりました。 今月は日時の隣に天気を記す事にします。 それと一日二回は何かを記す事にします。 さて、雨です。 とても寂しい感じの雨です。 そして心まで寒くなる様な気温です。 晴天ならば良いという訳ではありませんが、 どことなく…
†陽が差し込む洋館の様な喫茶店。 日常を送る人々の囁く様な会話に埋もれて、 なかほどに設置された大きい席だけ妙な違和感。 向かいの席から一人の少女が私を凝視している。 目を合わせる。逸らさない。 首を傾げて凝視し返す。ふと逸らした。 あの席の陰鬱…
†三時頃から急激な眠気に襲われ、 ぱったり寝てしまってから三時間後。 夢をみていた。現実的な夢。 良夢悪夢問わず縛られる傾向があるらしい。 そこまではよくある事。 友人からの電話を受けた。眠ったままで。 しかもその間も途切れ途切れに夢をみ続けてい…
†儚いながらも強い風に魅せられた。 眠気が和らいで散歩に行きたくなる日。 冷たく心地の良い風の吹くベランダで、 暫く考え事をしていた。 考え事をするには絶好の天気に思えた。 夜になり風は一層冷たくなっていったけれど、 それでも出かけたくなるほど澄…
†絡まった糸や鎖を解くのは得意だけれど、 これだけは如何にも難しくてなりません。 あらゆる物事が一人の手に委ねられ、 そのうえから周囲と自らの手により、 ぐるぐるに巻かれた鎖が創られていく。 でもこの鎖を解くのも全ては私次第なのです。 迷い抜いて…
†窓の外を見つめる猫。 何を見ているのか知りたくて、 同じ目線の辺りから外を覗いた。 出かけたくなる様な好い天気。 猫と外を見つめる。 それが何だか嬉しくて横顔をみた。 とても不思議な感じがした。 寂しそうでいて興味津々にみえて、 そして綺麗で大き…
†しんとした空気に、 見上げると月が。 凝視していても飽きないのは、 癒されているのかも知れない。 試されているのかも知れない。 どんな形の月であれ、 此処からは変わらず美しく感じる。 いつかの昔の映像にみる人の様に、 私もあそこへ行ってみたい。
†初めての事だった。 気のせいだと思えなかった。 今まで塊水晶にこんなにも、 惹きつけられる事はなかったから。 浄化される感覚と云うのは、 あんな感じなのかしら。。。 何故か離れられない。 見つめてしまう。 すぅっと入ってくる感じのよう。 とにかく不思…