路上の。

†帰り道にて。
お月様が綺麗だね、とか言いながら、
重い鞄をぶら下げて歩いていた。
するとずっと前方に白い塊が放置してある。
今宵も裸眼です。よくみえません。
恐怖を感じたがそこを通らないと宅へ着かない。
表向き平然を取り繕って少し警戒しながら歩く。



拍子抜けしました。
猫が一匹、ぽつんと座っていたのです。
道の真ん中に。月を見上げて。
私は猫を驚かせない様に近付いてゆき、
ここを通らないと帰れないのでとか話しかけながら、
脱兎の如くダッシュ
当然、猫もダッシュ
お互いの恐怖が絶頂に達した、猫と恐怖を共有した。
そんな二人をお月様は見下ろして。