呼ぶもの

†今迄の自分の甘さより、
その惨めさに気づかされた。
引き裂かれる体の痛みが心に悟らせる。
雨で冷たい午前の闇と、
風に揺られる午後の白天。
甘さなどとうに知られている事実。
そのなかで惨めさに気付いた者はいない。
気付いたところで然して関心はないだろう。
それでいい。
私を動かしているものは私。






目の前には足跡があるのに、
振り返ると何一つなかった。
それは午後に視る白い夢。
もしこれが現実だとしても、
私はその逆さの足跡を消して、
自らの足跡をつけて進みゆく。
呼ぶものの元から、
意を決したあの場処へ。