白の視線

†陽が差し込む洋館の様な喫茶店
日常を送る人々の囁く様な会話に埋もれて、
なかほどに設置された大きい席だけ妙な違和感。
向かいの席から一人の少女が私を凝視している。
目を合わせる。逸らさない。
首を傾げて凝視し返す。ふと逸らした。
あの席の陰鬱で必死な空気は、
少女の目に一体どの様に映っていたのだろう。
重ねてみる。



帰りの電車の窓からみていた遥かな空。
淡く白い雲の群れの隙間から差し込む幾筋の光。
私はあれが好きだ。揺られながら茫と眺める。
魂をとられた様にただずっと視線を奪われていた。
私はあれが好きだ。
それなのに。