静寂香氣

†大体の予想はついていた。
だから然して驚きもしなかった。



ただ半年の時も与えられずに、
強制的にそれは形になる。
事情に因り仕方の無い亊とはいえ、
これで私の帰る場処が減った。



人と離れる亊と同様に、
慣れた処から離れる亊も、
何時か想い出となって了う。
当然の亊だけれど、
それはやはり寂しい。
住み慣れた家や土地も、
長い時を共に過ごした、
友人の様なものだから。