創
†育てましょう、言葉の花。 咲かせましょう、旋律の花。 枯れない想いを紡いでいって、 色彩豊かな冠を今、此処に。
†欠かせない物を、 忘れたまま、 出かけて了った。 頭を抱えても、 道の半ばまで、 來て了っている。 引き返せはしないが、 ぐんぐん、 進んでゆくうちに、 その忘れ物が、 見守ってくれている亊に、 気付いて、 手元にいなくとも、 いつも傍に在る亊を、 感…
†突然の雨粒が、 窓を叩くと、 何故か肋骨が、 ほんの少し痛み、 風が深呼吸を、 している間に、 その痛みも消え、 雨も泣き止んだ。
†祈り始めて、 すぐに雨となった。 目を向ける亊もなく、 ひたすら祈る。 風が叫び、 雨が声をあげ、 鳴き続けても、 言葉が、 終わりを告げるまで。
†今日には今日の、 思い煩う亊があり、 明日には明日の、 思い煩いがある。 今は決して明日を、 思い煩わない様に、 一日一日を、 ただ大切に。
†不調の中にも、 感謝すべき亊を、 見い出しながら。 紡いだり、 労したりせずに、 出來るのであれば、 野の花の様に。
†体内を流れる液体の、 その中に含まれる、 小さな泡の一粒にも、 命を助ける氣体が、 列を成している。
†風に吹かれて、 花が揺られ、 心も揺られ、 ゆさわりにのる、 この身も揺られて、 また、 目を閉じなくとも、 風の中に、 緑の薫りを感じて。
†一輪挿しのフリージアと、 未だ花のつかない若木の緑と、 さっき洗った髪の香りが、 まったく同じ香りだという亊が、 何だか嬉しい、 午後の靜かなひと時。
†海の底の様な、 蒼く深い世界で、 動く亊のない、 生き物達が、 焔と共に、 揺れている。
†ゆっくり回して、 加速させる毎に、 段々とみえなくなって、 ひとつの輪になる。 その軽やかさに、 心まで軽くなる。
†白く美しい顔、 細く美しい手、 優しく美しい眼差し、 美しき赦しの微笑み、 すべてが。
†綺麗な緑、 鮮やかな赤、 彩る黄、 輝く銀、 そして、 ちょっと澄ましたよな、 青い空。 どれもが美しく、 今日の朝を彩る。
†午後のひと時。 療養に役立つのは、 葉の型をした、 飲み物の器。 春も、夏も、 秋も、冬も、 疲れた午後を、 いつも癒してくれる。
†手元にある、 生きた機械。 何時も働く、 愛しい機械。 迷惑か知れないが、 彼女を、 私の好みに、 飾り付けた。 一角が、 華やかになった。
†夕から夜に、 ふたつの光を映す、 二枚の絵の額縁。 この絵たちには、 夕の陽が、 よく映える。 夜の靜けさも、 鮮やかに。
†ほんの少し、 本当に少しだけ、 強い酒を口にする。 それだけで、 さっき迄の、 悩みが吹き飛び、 心地の好い眠りを、 約束してくれる。
†ひとつの葉が、 色づいているのに、 もうひとつの葉が、 自らを危める様に、 変色し落ちてゆく。 ただ、 みている亊しか出來ない、 その悲しさの中で、 新たに芽生えた、 小さな葉の存在が、 嬉しく想う。
†何氣ない出來亊にも、 ひとつひとつに祈りを。 感謝の心を忘れずに、 ひとつひとつを、 祈りと共に。
†紅いワインを。 硬いパンを。 日を越して行われる、 復活の賜物をこの身に。
†さらさらと、 形成されてゆく、 心の片隅に芽生えた、 小さな、 小さな決意。
†祈りの言葉は、 記憶の中に、 深く刻まれ、 明日を想う、 人々の疲れに、 そっと沁み込む。
†色褪せた、 この空、人、 木々の中に、 ただ透明な矢が、 音もなく靜かに、 降り注いでいる。
†喉を流れる、 まるで命の水の様な、 その甘美さに、 有り難さに、 溺れているだけの、 午前三時。
†見上げた空に、 逆さに視る空に、 流れる物の正体を、 目を凝らす亊なく、 ただ流れる様に、 見詰めているだけ。
†そら、 凝としておいで。 貴女のその、 白く綺麗な首を、 有刺鉄線で、 飾ってあげる。
†長い時間の中で彼女は退屈を持て余し、 煙草を喫もうとライターへ手を伸ばした。 とんからかったん… その拍子に間抜けな音を立てて落ちて了った、 使い捨てのライターをみて思わず笑ってしまったそうです。 それから彼女は何かに憑かれたかの様にその、 『…
†『最近、漸く散歩が出来る様になったんだ。 最初は着せられた服が窮屈で歩きづらかった。 だけど何度も散歩に行くうちに慣れてきたよ。 それに今は何処へ行っても人気者なんだ。 大きい犬も小さい犬も皆吠えるけど怖くない。 僕からしたら「だから何?」っ…
†乾いた涙の痕を視る。 それは人工液体の痕。 欺いた瞳の色は灰色。 零れ堕ちた言葉は闇。 闇から雫が溢れる。 偽らざる雫の色に、 空が共鳴するかの様に甘粒を。
†深い穴へ。 僕より先に、 君が堕ちた。 そして僕は、 君より先に、 這い上がった。 君を助けなかったのは、 僕の役目じゃないから。 でも安心して。 もうすぐ君を助ける為、 君のパァトナァが、 其処に行くから。