繰り返す人

†長い時間の中で彼女は退屈を持て余し、
煙草を喫もうとライターへ手を伸ばした。




とんからかったん…




その拍子に間抜けな音を立てて落ちて了った、
使い捨てのライターをみて思わず笑ってしまったそうです。
それから彼女は何かに憑かれたかの様にその、
『拾える物を落としまた拾う』
という行為そのものが楽しくなったのか、
ついには小さく無邪気な笑い声まであげて、
何度もライターを落としては拾い…を繰り返していました。




私はそんな彼女に近付く亊すら躊躇らわれて、
ただただ窓の外から不思議そうに、
その光景をみているしかありませんでした。