無言

祈祷-キド-

†その冬から多くの歳月が流れた。
過ごした景色が変わり果て様とも、
その手は、その目は、その口は、
欠かす事無く祈りを捧げ続けている。



それは此方側の視線。
この手は、この目は、この口は如何であろう。
毎日の様に少しずつ変わりゆく景色に耐え、
あの人の様に祈りを捧げ続けられるであろうか。



誰も多くを語ろうとしない。
まだその時ではないのかも知れない。
それなら此方も語らずに待ち続けてみよう。
誰もが争う事無く語る事が出来る、その時まで。