憂いの桜

憂いの桜

†彼の友達から聞かされた彼の言葉。




僕にはあまり時間が無い。


あの人の好きな桜の花弁が、
川面に散り流されてゆくのを、
美しいと感じる事なく、
ただ切ない思いで眺めていた。


桜の花にも時間が無い。
可憐な咲き始まりを望まれながら、
人々の心を華やかさで満たした後、
こうしてひっそりと散ってゆく。


何も知らなかった。
彼はいつも明るい声で話すから。
いつも優しい笑顔でいてくれるから。