路上

ラクションの狂奏
ひけるのならひいてごらん
倍に返して差し上げましょう



†ぶらっと歩いている時。
信号待ちで立ち止まっている時。
状況などには全く関係なく、
この降って湧いて来る記憶と、
包み込む薫りの正体が判らず。



厭ではない。けれど。
今の六感には刺激が強過ぎる。
助けを求める様に白い車に乗り込み、
何時か視た事のある橋の上まで。


暫くすると見えてきた。
知り合いに会った時みたいに安堵。
白い車を見送った後に、
一瞬、何故此処に来たのだろうと考えてしまった。
記憶と薫りは薄れた。けれどそれが少しだけ寂しい。

幾度も繰り返される既視感と眩暈。
遅く来た天使が嘲笑いながら導く先は過去。
未知へ生きろと通りすがりの悪魔が囁く。
全て受け入れて。


受け入れ方わからず帰宅の途。
結局歩くのか。くゎぁ、莫迦