傾く線

†傾いた時計の上から私は。




砂時計の中の素敵なあなたは、
落ちてゆく砂に水をかけるけど、
出る亊が出來ないからいつかは。




手巻き式時計の螺子をひたすら回す君は、
それが壊れた亊にも気付かずに、
未だに回したぶんだけ数を数えて。




壁時計をみつめている子供は、
針の回る方向が気に入らなくて、
文字盤を左右対称に描き変える。




傾いた時計の上で私は、
その余りにも美しい硝子板に、
そっと蜂蜜を垂らす。