現界

現界の陽

†夢に視惚れていた。
紅く艶かしい空。蒼く揺らめく山。
襟元に様々な建物があしらわれた、
一つの街の様なブラウス。
銀のクローゼットの中にいる人々。



此処の所、実に色々な夢に出逢う。
夢の趣が変わったというところか。
今回も暫く堪能した後に意識して目を覚ました。



友達を起こす為のアラームが鳴った。
彼女は夢に縛られる体質でいつも遅く起きる為、
私が電話で起こしてあげるのが日課となっている。
携帯電話を手にゆっくりと起き上がると、
カーテンの隙間から陽が高いのが窺えた。
今日こそは一回で目覚めてくれるだろうか。
珈琲を飲む為に台所へ向かいながら、
彼女の携帯電話への短縮ボタンを押した。