道迷い

†歯科医院からの帰り道に、
用を思い出してとある薬局へ。
この薬局に行くには再び駅へ戻り、
もう一つの通りに入るのだが、
何だか面倒なので近道を行く亊にした。
とは言っても一度しか通った亊のない、
複雑な道なので記憶は非常に曖昧で、
まるであてにならない脳内地図を頼りに、
とりあえず自転車をこぎだしてみた。
確か此処を真直ぐに行ってその角を右に…。
…行けた筈だったのだが全く見覚えがない。
ではこちらの角かしら…と曲がったら、
長く急な下り坂を下らされて了った。
坂道の下に着いたらもう何処だか判らない。
陽が傾き始めて少し心細くなり混乱してきた。
こうなったら駅方面へ向かおうと思い立ち、
それらしい標を探して回る亊にした。
漸く大きめな交差点に辿り着き、
辺りを見回すと標らしき物を発見。
迷う亊なく標を信じて向かってみたが、
何だか……こぐ足が重い。
一度止まって目を凝らして前方をみると、
先のみえない緩かな上り坂になっている。
それでも上らないと帰れないので上った。
途中、歩行者に抜かれたが見覚えのある道に出た。
これでなんとかなると思い角を曲がったら、
何と目的の薬局に辿り着いた。
何分かかったのだろうか…長かった…。
とにかく無亊に買い物を済ませて帰宅。
曖昧な記憶の地図なんてあてにせず、
歯科医院を出たらそのまま駅に向かえば良かった。
たとえ少し遠くても。