硯と墨

†小学の頃、ちょっとした癖があった。
丁寧に半紙を乗せゆっくりと文鎮を置く。
さてここからでした。
硯です。墨です。これが楽しかった。
墨を磨るわけですけれど、
いっこうに終わらない。終えられない。
他の級友方は既に筆を持ち、
各々に字を書き始めておられるん。
そんな静かな時の中にすりすりと、
私だけが納得のいくまで磨り続けている。
一体どれだけ磨ったのだといったところで、
漸く書に入るのだけれども何か書き具合が妙で、
しっくりこない、といった感じでそれ以来、
学校では無闇に磨り続けるのをやめ、
自宅でのんびり磨って遊んでいましたとさ。