酔い電話

†日付が変わった頃、一本の電話があった。
不明着信ではなかった。
携帯電話の画面に出ていたのは、
久方振りの大叔父からの電話番号だった。


この人からの着信は大抵の場合、
飲酒電話である事が多い。
また説教癖もある為に如何しても長引く。
しかも酔っているが故に同じ事を繰り返す。
そしてやたらと声がでかい。


少し躊躇して受けないでいたけれど、
ベルは鳴り止む気配がない。長期戦か。
体調的にも受けたくなかったが仕方ない、
なるべく具合の悪そうな声で応対した。



長い。本当に長い。
携帯電話が破壊されると思うほど声がでかい。
途中で泣いてしまおうかと思いたったが、
何だか喝を入れられそうなので止しておいた。


結局、何が言いたいのか判らないうちに通話は終了。
あとに残ったのはやはり倦怠感だけであった、と。