2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

すべての始まりへ

†春の長い夢の終わりに、 一人の少女の未来の姿がみえた。 緑の中を歩いていた少女は、 何かを見つけたかの様に立ち止まり、 其の儘、ゆっくりと消えていった。 *被写体 みほ(妹)

休まる処

†余りに孤独願望が高まり過ぎて、 誰にも言わず懐かしい所へ来てみた。 緑が眩しく心が休まる。 此処は時も季節も体で感じる事が出来る。 夏は暑さを感じても緑に入れば涼を得られる。 秋は時を忘れて静けさに自然を聞く事が出来る。 冬は厳しい寒さの中でも…

解と望

†この街に来るのは、どのくらい振りだろう。 ずっと一人だけ遠くに引き離されて暮らしていた為、 思い出す事は出来ても来る事は許されなかった。 ところが或る日、僕を縛る苦痛の鎖が解かれた。 あいつは自ら崩れたんだ。当然の報いだった。 消滅はしていな…

想いは空に

†久し振りに外へ出た。 ここ数日、体調不良で床に臥せっていて、 医者から無理をしない様にと言われていた。 だが外に出るのは余程の空模様で無い限り、 毎日の楽しみの一つだった。運動にもなる。 外へ出られない間、そのつらさを読書に充てた。 紛らわす様…

危険なゲヰム

†普段、こういう映画は観ないのだが、 テレヴィで紹介されていたのをみて、 面白そうだと感じ借りる事にした。 ザスーラ [DVD]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2006/04/16メディア: DVD クリック: 13回この商品を含むブログ…

無時

†緩やかに流れる時の中で、 とりとめのない事を考えていた。 楽なほうへ楽なほうへと考えたりはしない。 してきた事の意味についても思いを馳せない。 ただ、意識的に考えているだけ。 とりとめのない事なのに意識的に考える。 だから自分でも矛盾していると…

蒼い夢

†歩き慣れた道。 見慣れた景色。 瞬き一つの間に、 感覚も無くぐらりと傾いた。 それなのに私は傾く事なく立っている。 傾いてしまった景色を当然の様にみている。 通り過ぎる人も車もすべて傾いているのに、 私だけ傾く事を許されないかの様に、 ただ一人だ…

僕は君を壊す

†ただ、穏やかな日々を望んでいた。 僅かな何かを得ながら、 私の旅は終わりを告げた。 海からの風により少し涼しく感じる。 観賞用に飾られて闇に光る木は、 抱いていた煩わしさを払拭してくれた。 信じるだとか信じないだとか、 そのような事なんて如何で…

私はあなたを救う

†桜は儚く誇らしげに散りゆき、 眩しい常緑を想い慕う時となった。 まだ僕の旅は始まらない。 『絶対』という言葉を否定されてから、 人が信用出来なくなり、 また信用もされなくなった。別に良いよ。 いつか誰かが口ずさんでいた詩が、 現実になれば良いと…

時に乗って

†誕生日でも記念日でもない、 年に一度の不思議で特別な日。 私の記憶の中で形成された、 通り過ぎる事の出来ない日。 あの日、あの懐中時計が教えてくれた。 止まって了って修理不能に陥って以来、 大切にしていたのに人の手に渡って了った。 そして今。 数…

天の気紛れ

†銀の雨矢が止み、徐々に視界の色が変わる。 通常であればその変化に助けられるところだろう。 ただ、今回はずっと雨矢を眺めて居たかった。 それなのに天も心も気紛れ。 白い空が割れて青い空が顔を出した時、 その鮮やかさとは反対にこの心は曇りだした。 …

無言

†その冬から多くの歳月が流れた。 過ごした景色が変わり果て様とも、 その手は、その目は、その口は、 欠かす事無く祈りを捧げ続けている。 それは此方側の視線。 この手は、この目は、この口は如何であろう。 毎日の様に少しずつ変わりゆく景色に耐え、 あ…

夜の時

†華やかに行われた友達の誕生会の帰り。 日も暮れてしまい、辺りも寂しくなってきた。 小さい時から両親は共働きに出ていて、 朝にならないと帰って来ない為、 独りになるのには慣れていた筈だった。 それなのに最近は夜が怖く感じる。 以前は友達の家に泊ま…

望臨

†小さい頃に連れて行かれた水族館で、 色々と見て回るうちに、ある水槽の前を通りかかった。 その水槽の中で悠々と泳ぐ魚と目が合った瞬間から、 言い様の無い恐怖感が込み上げて以来、 水族館や海など魚のいる所を避ける様になっていた。 あの頃と今とでは…

危険思考

†観覧車というものは、 こんなに高くまで上るものだったか。 前を見ると空。左も右も空。 そっと下を窺ってみる。 たまの一人旅で気侭に訪れた所で、 何だか無性に観覧車に乗りたくなった。 誰にも阻まれる事無く独りになりたかった。 この扉を開けて空を飛…

微睡夢

†再び同じ夢をみた。 桜の道を一人歩く夢。 淡く咲く桜の空と、 紅い花が印象的だった。 確か前回の夢でも、 この紅い花をみた。 あの人と歩いた現実の道にも、 この花をみる事があった。 恋しい訳ではないけれど、 無理に忘れる事もない。 そう思えた。 忘…

消えた人

†散歩に行くと言ったきり、 もう一週間も帰って来ない。 お前の散歩はそんなに長いのか。 今、何処で何をしているのか。 そして何故、帰って来ないのか。 せめて連絡のひとつぐらい、 寄越してくれば良いものを。 まだ肌寒かった夕暮れに、 少し距離を置いて…

夢より現へ

†厭な事があるとすぐに逃げる。 そして逃避先はいつも此処。 時を忘れていられる場所。 少し遠いけれど、気に入っているから。

現界

†夢に視惚れていた。 紅く艶かしい空。蒼く揺らめく山。 襟元に様々な建物があしらわれた、 一つの街の様なブラウス。 銀のクローゼットの中にいる人々。 此処の所、実に色々な夢に出逢う。 夢の趣が変わったというところか。 今回も暫く堪能した後に意識し…

心の声を聞く視線

†ずっと薦められておきながら、 観る事の出来なかった映画。 ベルリン・天使の詩 [DVD]出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ発売日: 1998/10/25メディア: DVD購入: 1人 クリック: 88回この商品を含むブログ (96件) を見る 物語の始めのほうはよく解ら…

行先

†少しずつ暖かくなってきましたね。 旅の途中で見つけた花が何とも愛らしく、 あなたと互いに贈りあったティーカップの様で、 微笑まずにはいられません。 ずっと続く私の道に、あなたがいてくれる事。 この感謝を一体誰に捧げたら良いのでしょう。

静かな絵

†少し悩みを休めたくて、 気分を変える為に外へ出た。 近くの自動販売機で缶紅茶を買い、 それを飲みながら路地を歩いた。 今日という日があまりに静かに感じる為か、 みえている景色は現実なのかと、 ふとそんな事さえ思ってしまう。 根を詰めすぎて考えが…

赤光玉

†朝方に中々寝付けなかったので、 懐かしいラムネを飲んでみた。 久し振りに中のビヰ玉を取り出し、 思い付いてそれにレーザー光を当て、 撮影をしてみたらこの様な具合となった。 色々試せそうな光。 連ねても遊べるので今夜も試してみたい。

影猫の願望

†退屈。 これじゃ欠伸も止まらないよ。 外へ出られない私は、 ただ此処からみえる、 切り取られた景色を眺めるだけ。 そうは言っても左斜め前を流れる物は、 やたらと煩い音を発して通り過ぎる、 何やら長くて速い箱の様な物。 これがまた嫌なの。 私の望む…

浄花

†独りでバーに入った事などなかった。 酒はあまり飲めなかったから、 誘われた時に付き合いで少し飲む程度だった。 然し今夜は、どんな店でもどんな酒でもいいから、 とにかく酔いたかった。 すべてに疲れ果てすべてが嫌になり、 自分が自分である事さえ嫌だ…

憂いの桜

†彼の友達から聞かされた彼の言葉。 僕にはあまり時間が無い。 あの人の好きな桜の花弁が、 川面に散り流されてゆくのを、 美しいと感じる事なく、 ただ切ない思いで眺めていた。 桜の花にも時間が無い。 可憐な咲き始まりを望まれながら、 人々の心を華やか…

傷痕

†鈍りがちな身体を動かす為、 軽く散歩に出かける事にした。 散歩なのだからと行き先は決めず、 ふらりと色々な所を流し歩いた。 あちらこちらで桜が咲き散るのをみて、 もう春がきてしまったのだと胸が痛んだ。 僕にはあまり時間が無いから。 日が暮れかけ…

夢の微笑み

†夢をみた。 淡い紫のヴェールの世界だった。 君は手作りの白いドレスを着て、 見知らぬ人と階段を上ってゆく。 僕が名を呼ぶと、 君はゆっくりと振り向いて、 そっと儚げに微笑んだ。 口元が何かを言いたげに小さく動いた。 けれど何を言っていたのか、 結…

緩やかな時

†一年前のあの日。 この道を懐かしむ人々が一軒の民家へ集った。 現在は一人でそこに居を構えていらっしゃる、 齢八十を迎えられた淑女の為だった。 各々、好きな時間に到着した様だが、 私が一番遅く到着した。いつもそうだ。 華やかでのんびりとした夕餉も…

待ち侘びて

†例年より早く咲いた様だ。 自宅から程近い公園の中で、 美しく咲く桜の花弁を見上げながら、 ぼんやりとそう思った。 今日は珍しく早起きした君から、 公園の桜の木の下で逢おうと電話が掛かってきた。 向こうから逢おうと言ってくるなんて一度も無かった。…